生活費がない、お金がなくて引っ越しができない、入学金が用意できないなどお金がなくて困ってしまうことはあるものです。そのようなときは即日、お金を用意したいもの。最短で即日融資が可能なカードローンもありますが、契約するには審査に通過しなければなりません。
収入がなければカードローンの契約は無理です。そこで生活困窮者の相談にのってくれる市役所なら、公的支援を受けられると考えることもあるでしょう。
確かに市役所でお金を借りる相談は可能です。主な制度には、生活福祉資金貸付制度と母子父子寡婦福祉資金貸付金制度があります。
どちらも即日で借りることはできませんが、条件がクリアできれば低金利でお金を借りることができます。市役所でお金を借りる2つの制度について解説します。
市役所から即日でお金を借りる方法はない
カードローンなどは審査に通過すれば即日にでもお金を借りることはできますが、市役所で即日にお金を借りることはできません。
市役所に相談すれば、貸付制度を紹介してもらえます。必要な書類がそろえられれば、即日申し込みは可能ですが、市役所でもお金を貸す際には審査や手続きがあるため、即日融資というわけにはいかないのです。
市役所の貸付制度に即日申し込みをしても、数週間~数ヵ月程度はかかるでしょう。お金借りる即日を希望の場合は、最短即日融資が可能な消費者金融カードローンや質屋、家族から借りるなどといった方法を検討するのも方法の一つです。
即日ではないが市役所からお金を借りる代表的な方法
即日にお金を借りることはできませんが、市役所でお金を借りる方法として代表的なものが、「生活福祉資金貸付制度」と「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」です。
生活福祉資金貸付制度は生活が困難な人をサポートする制度
生活福祉資金貸付制度は、低所得者、高齢者、障害者などが安定した生活を送るために、資金を貸したり、自立して生活ができるよう相談にのったりして支援をする制度です。
対象は以下の通り。
- 必要な資金を他から借りることが困難な「低所得者世帯」
- 障害者手帳などの交付を受けた人が属する「障害者世帯」
- 65歳以上の高齢者が属する「高齢者世帯」
高齢者世帯や障害者世帯のほか、低所得者世帯が利用できる制度です。低所得者とは市町村民税非課税程度のことを指します。
失業したり、給料が激減したりして生活が困難な世帯に一時的のお金を貸したり、仕事探しや家計指導などをしてくれたりします。
申込窓口は各市町村の社会福祉協議会です。市役所に窓口がある場合も多いので、確認してみましょう。
ひとり親や寡婦に経済的支援をする母子父子寡婦福祉資金貸付金制度
母子父子寡婦福祉資金貸付金制度は、20歳未満の児童を育てているひとり親、寡婦などにお金を貸す制度です。
母子家庭や父子家庭、寡婦(夫と死別もしくは離婚したあとに婚姻していない方)の生活をサポートする貸付制度。条件に当てはまる場合は、市役所の子育て支援やひとり親世帯を支援する部署に相談してみましょう。
参考:母子父子寡婦福祉資金貸付金制度 | 内閣府男女共同参画局
生活福祉資金貸付制度には生活・福祉・教育を支援する貸付制度がある
生活福祉資金貸付制度には、以下の4種類があります。
総合支援資金 | 生活支援費、住宅入居費、一時生活再建費 |
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福祉資金 | 福祉費、緊急小口資金 |
教育支援資金 | 教育支援費、就学支度費 |
不動産担保型生活資金 | 不動産担保型生活資金、要保護世帯向け不動産担保型生活資金 |
総合支援資金は生活を再建するまでに必要なお金を借りることができる
総合支援資金は生活を立て直すまでの支援として借りられる資金で、生活支援費、住宅入居費、一時生活再建費があり、具体的には以下のような用途に使用できます。
- 賃貸物件を借りるための敷金・礼金など
- 就職をするための勉強や技術を習得するための費用
- 滞納している公共料金などの支払い
- 債務整理などをする場合の費用 など
貸付限度額は15万円~60万円。原則保証人が必要ですが、なくてもお金を借りることができます。保証人がいれば利子なしで借りられますが、保証人なしの場合は、年1.5%の利子で借り入れできます。
生活支援費 | 2人以上(月20万円以内)、単身(月15万円以内) |
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住宅入居費 | 40万円以内 |
一時生活再建費 | 60万円以内 |
参考:厚生労働省|厚生労働省生活支援特設ホームページ | 生活福祉資金の特例貸付 | 総合支援資金について
福祉資金は介護サービスなどの福祉費用や生活維持のための支援資金
福祉資金は病気後、在宅で生活をするための経費や福祉用具などの費用や介護サービス費用です。また生活のために少額を借りることもできる資金です。具体的には以下のような用途に使用できます。
- 病気の療養のために必要な経費
- 災害を受けた後に必要な費用
- 住宅の増改築費用
- 福祉用具費用
- 介護サービスの費用
- 冠婚葬祭に必要な費用
- 就職の技能取得のためにかかる経費
- 緊急に生活ができなくなった場合の費用 など
福祉費は用途によって上限目安額が決まります。緊急小口資金は無利子。福祉費は保証人がある場合は無利子、ない場合の利息は年1.5%です。
福祉費 | 580万円以内 |
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緊急小口資金 | 10万円以内 |
教育支援資金は高等学校や大学で勉強するための支援資金
教育支援資金は高等学校、高専、短大、大学に行くためにかかる経費や修学するための費用を支援する資金です。具体的には以下の用途に使用できます。
- 授業料や教科書代、実習費、施設設備費などの学費
- 制服や体操着
- PTA会費
- 定期代
- 修学旅行費
- 入学金 など
貸付は未払いの費用が対象です。利子はありません。
教育支援費 | (高校)月3.5万円以内、(高専)月6万円以内、(短大)月6万円以内、(大学)月6.5万円以内 |
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就学支度費 | 50万円以内 |
不動産担保型生活資金は居住用不動産を担保にしてお金を借りる方法
不動産担保型支援は、低所得もしくは要保護の高齢者世帯に、居住用の不動産を担保として生活資金を貸すものです。借りた資金は生活資金のみに使用可能です。
契約者が亡くなる、融資が終了する、といった場合に担保の不動産を処分し、お金を返済します。リバースモーゲージと同じ仕組みと考えてよいでしょう。
要保護世帯向け不動産担保型生活資金は連帯保証人の必要はありませんが、低所得者の高齢者世帯が対象の不動担保型生活資金は連帯保証人が必要。金利は年3%もしくは長期プライムレートのどちらか低い方です。
貸付限度額は以下の通り。
不動担保型生活資金(低所得者の高齢者世帯が対象) | 土地の評価額の70%、月30万円以内 |
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要保護世帯向け不動産担保型生活資金(要保護の高齢者世帯が対象) | 土地及び建物の評価額の70%程度(集合住宅は50%)、生活扶助額の1.5倍以内 |
申請は市区町村社会福祉協議会に行う
相談や申請は市区町村社会福祉協議会で申し込みます。資金によっては支援プランなどを検討し、必要書類を提出します。
申請後は市区町村社会福祉協議会および、都道府県社会福祉協議会で審査が行われます。お金を借りることができると決まったら、都道府県社会福祉協議会に借用書を提出後、貸付されます。
お金を借りるにはこのような流れを踏まなければならないため、即日の借り入れは無理です。少しでも早く借り入れをするには、できるだけ早めの相談をするようにしましょう。
母子父子寡婦福祉資金貸付金制度はひとり親家庭と寡婦の生活支援と自立をサポート
母子父子寡婦福祉資金貸付金制度は、20歳未満の児童のいる配偶者のいない母親・父親、寡婦への貸付制度です。貸付には面談や審査を行ったうえで貸付の申請ができます。
母子父子寡婦福祉資金貸付金制度には12種類の資金がある
母子父子寡婦福祉資金貸付金制度は生活のための資金をはじめ、修学資金や就職支度資金、医療介護資金など12種類の資金があります。
資金の種類 | 用途 | 限度額 |
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生活資金 | 生活を安定させるための資金。技能を取得する間に必要な資金 |
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住宅資金 | 住宅を建てる、購入する、増改築するなどの資金 |
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修学資金 | 学校に修学させるために必要な授業料や書籍代などの資金 |
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技能習得資金 | パソコンや栄養士など仕事をするために必要な知識や技能を習得するための資金 |
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修業資金 | 仕事をするために必要な知識や技能を習得するための資金 |
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就職支度金 | 服や自動車など就職をする際に必要な資金 |
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医療介護資金 | 医療や介護を受けるための費用 |
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就学支度資金 | 就学や修業をするために必要な服や靴などを買う資金 |
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転宅資金 | 引っ越しをする際の賃借などに必要な資金 | 260,000円 |
結婚資金 | 結婚をする際に必要な資金 | 310,000円 |
事業開始資金 | 事業を始めるにあたり必要な設備・機械などの資金 |
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事業継続資金 | 事業を継続するための商品や材料購入などの運転資金 | 1,630,000円 |
金利は無利子、もしくは年1.0%で借りることができます。
即日でお金を借りるのは難しいので早めの相談を
申請は市役所のひとり親家庭福祉担当課などの窓口のほか、県の地域保健福祉課などに相談をしましょう。申請をしても即日にお金を借りることはできません。2~3ヵ月程度はかかるので、早めの相談をおすすめします。
市役所からお金を借りる場合は条件や対象に注意
市役所の窓口で相談し、生活福祉資金貸付制度や母子父子寡婦福祉資金貸付金などを利用するには、即日では借りられないことのほか、以下のような注意点があります。
お金を借りるには審査があり対象でない場合などは借りられないことがある
市役所などで相談をしても対象でなければお金を借りることはできません。生活福祉資金貸付制度や母子父子寡婦福祉資金貸付金には対象や条件があります。先に述べたように、申請ができたとしても審査があり、以下のような理由で認められない場合があります。
- 低所得者とは言えないなど対象者ではない
- 借りたお金の使途が決まっていない
- 返済の見通しがない
- ほかの借り入れができる世帯
- 借り入れが多い
- 破産申立や任意整理などの債務整理の手続きをしている
- 暴力団員
生活福祉資金はお金を借りることで生活を立て直すことが目的です。また、資金を貸して生活できることが条件の一つであり、多額の借り入れがあり、市役所からお金を借りることができても生活していけないという場合は、借り入れできない場合があります。
生活福祉資金など市役所から借りるお金は税金が財源です。返済をしてもらわないとその財源が減ってしまいます。そのため、返済できる見通しがないと、審査に通らない可能性もあります。
就職活動をしていることや学校に通学する意志が強いことなど、自立しようとしていることを伝えることも必要です。
また、収入が安定していてカードローンの審査に通るなど、ほかのところから借り入れができる場合は、市役所からお金を借りることはできません。
生活福祉資金はカードローンのように借りたお金を自由に使えるわけではありません。旅行をしたいから、少しぜいたくな生活をしたいなどの理由でお金を借りることはできません。
市役所から借りるお金は用途が決まっているため、使い道が明確でないとお金を借りることはできないので注意しましょう。
即日では借りられないので融資日を市役所に確認する
市役所からお金を借りる場合は、申請をして即日に借り入れができることはありません。長ければ数ヵ月かかることもあるでしょう。貸付してもらえる日は地域によっても異なるので、融資日を知りたい場合は市役所に問い合わせてみましょう。
公的な支援資金であることを認識し返済するための計画を立てる
市役所から借りるお金は公的な支援金です。生活が苦しいからといって、返済しないわけにはいきません。そのためにも、きちんと返済できるよう、家計を見直したり、資格を取得して給料アップを目指したりすることが必要です。
市役所では家計の見直し方法をアドバイスしたり就労支援をしたりしています。悩みや相談ごとがあれば、問い合わせをしてみましょう。
虚偽の申請はできないので注意
市役所からお金を借りるのは金利も低く、返済期間も長いといったメリットがあります。しかし、虚偽の申請をしてお金を借りようとしてもそれはできません。
市役所からお金を借りるには、現在の困窮している状態を正確に伝え、それを認めてもらうことが必要です。書類を提出し、収入や支出、病気の状態や負債などについて詳細にチェックされます。そのうえで貸付が必要と認められた場合にお金を借りることができます。
償還期間を過ぎると遅延損害金が発生するのできちんと返済をする
市役所からお金を借りることができたら、期限を守って返済をすることです。資金にはそれぞれ据置期間と償還期間があります。
据置期間 | お金を借りてから返済が始まるまでの猶予期間 |
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償還期限 | 借りたお金を返済する期限 |
償還期限が過ぎると遅延損害金が発生します。償還期限は長期間であることが多いので、その間に生活を立て直し借りたお金をきちんと返済するようにしましょう。
「市役所から即日お金を借りる」に関連するよくある疑問
「市役所から即日お金を借りる」に関連するよくある疑問を集めてみました。参考になさってください。
Q 市役所から即日でお金を借りることはできますか?
A 市役所から即日でお金を借りることはできません。必要であれば早めに相談をすることをおすすめします。
Q 誰でも市役所からお金を借りることはできますか?
A 市役所からお金を借りることは、誰でもできるわけではありません。制度によって条件があり、低所得者世帯や障害者世帯、高齢者世帯、ひとり親などが対象となるケースが多いです。
Q 市役所からお金を借りる審査にはどのような基準がありますか?
A 対象であることと、返済の見通しがあることです。また、多重債務者ではない、ほかから借りる手段がない、使い道が明確である、などといったことが基準となります。
少しでも早くお金を借りるには早めに市役所に相談をする
市役所でお金を借りる制度として、主に生活福祉資金貸付制度と母子父子寡婦福祉資金貸付金制度があります。どちらも金利なし、もしくは低金利で借りることができるものですが、即日、借りることはできません。
市役所からお金を借りるそれらの制度には対象や条件があります。申請後は審査もあるので、貸付まで時間がかかります。市役所から借りるお金は公的資金であり、適している世帯に貸す必要があるからです。
対象であり条件が合えば、もちろんお金を借りることができます。わからないことがあったり、相談したいことがあったりするなら早めに市役所に相談をしましょう。